英国市場で車をお探しの方から、「HPI」やCAT Cとは何を示すものかというお問い合わせを何度もお問い合わせいただいています。
車を探している時に、広告内の説明で「HPI Clear」等と書いてあったり、「CAT C」と書かれた安い車を良く目にされると思います。
HPIとは「Hire Purchase Information」の略で、登録車両の基本情報や事故歴等の情報を参照でき、車を購入する際に、とても便利なシステムなのです。

英国が、このHPIの車両データベース利用を始めたのは、なんと1938年! その頃には、車の盗難歴や、ローンの有無を調べる為のデータ構築の必要性に迫られていたという事なんです。

HPIの仕組みは、まず、車両データベースがあり、英国のDVLA(陸運局)、警察、保険会社、車ローンの会社が情報を入力できるようになっています。
データベースには、車の基本情報(登録年月日や車台番号等)はもちろん、盗難情報、ローンの有無、事故修復歴、車検情報などがリアルタイムで蓄積されていきます。
ローンが残っている車の場合、ローン完済しない限りは、他人に転売したり、輸出できないという事です。
年に一度のMOT車検を受けた際に、メーターの走行距離を記録しますが、それもデータに蓄積されていきますので、”メーター戻し”をしたら、一発で分かるという訳です。

Cat C/Cat Dに付いて

「キャット=猫」のことではなく、車業界では、事故歴があり、修理済の車のことをカテゴリーCまたはDという形で表します。
一般的には、車が事故った時に、車保険会社が査定員を派遣し、車の状態を評価・査定しにきます。
査定された結果、「車の市場価格よりも、修理費のほうが上回っているので、スクラップ推奨」と保険会社に言われた場合、
・車オーナーが修理を諦め、スクラップヤードに持っていかれて廃車になった時は「Scrapped」のマークが付きます。
・車オーナーが「いやいや廃車なんて勿体ない、車に問題ないなら修理して車使うわ!」⇒車両データベースに「修理済」Category D.(=CAT D)とタイプされます。
・車オーナーが「修理して車を使いたい!」と希望しているが、保険屋が車のコンディションを元に難色を示し、「その車は本当に安全か分からないから、修理した後、修理ガレージで安全性に問題が無いかプロにチェックしてもらってから、保険屋宛てに「安全に問題無し」の証明書を提出しないと、公道は走れません」と警告。⇒「修理済」Category C.(=CAT C)
CAT DとCAT Cの違いは、「CAT C」のほうが検査員は「事故の結果、車台にダメージがあるはず」と査定で思っている可能性が大きいです。ですので、修理ガレージのプロによる「走行に問題無し」の証明書の提出を求められます。

CAT C/Dの車はヤバいのか

修理車のカテゴリーに入れられてしまった車はヤバいかというと、そうでもないです。
例えば、かなり古い車の場合、そもそもの市場価格が1000ポンドだったとします。で、軽い事故により、ちょっとバンパーを凹ませてしまったとします。車には全く問題無しの状態ですが、保険屋の査定の結果、「車のお値打ちよりも修理費が高い」と判断されがちです。修理費とは、新品パーツを使って、キレイに直す場合の費用を見積もるからです。
ですので、せっかく中古パーツを使って安く修理を仕上げ、車は全く問題がない状態になったとしても、保険屋からは「保険修理が車の価値以上に掛かった」ということで、車両データに「CAT D」の修理歴として残るという事になるのです。ですので、イギリス国内で将来的に転売を考えるのなら、CAT C/Dの車は避けたほうが良いということになります。

HPIチェックは有用、しかし費用がネック

このHPIチェックはインターネットで、直ぐに、いつでも結果が出るようになり、利便性が増しています。
唯一の欠点は、このHPIチェックのダウンロードに、費用が掛かること!
ですが、「AutoTrader」等では、最重要ポイントのHPI情報を無料で表示してもらう機能が付きました。
AutoTraderで車をサーチすると、車広告のページ下に以下のような表示が出ている場合があります。(Copy from AutoTrader.co.uk)。
HPIcheck
“Auto Trader vehicle check”と書いてある欄に、「Stolen(盗難)」、「Scrapped(廃車)」、「Category C/D」と書いてあり、問題がなければ「Clear」と、チェック結果が自動表示で出てきます。
ここが「Clear」になっていれば、取りあえず、購入に問題無しです。
ただし、無料で見られるのはここまで。
メーターの巻き戻しが疑われるケースの場合は、ここに出てきません。15ポンド程支払うと、詳細が出てきます。(新車から3年落ちまでの車は英国でMOT車検を受けなくて良いので、HPIで走行距離をチェックできませんが、ローンが残っていて転売不可か否かはHPIでチェックする価値があります)。